- 材料
- D - 1各部材の耐久性は?
- D - 2補強材の防食は?
- D - 3削孔により補強材のめっきは剥離しませんか?
- D - 4シースの役割は?
- D - 5補強材や関連部材をステンレス材にできませんか?
- D - 6ワイヤロープではなく、化学繊維のロープでもよいですか?
- D - 7支圧板の形状はどのように決めたのですか?
- D - 8ワイヤの端部固定にワイヤクリップを用いてもよいですか?
D-1 各部材の耐久性は?
ノンフレーム工法の各部材は、溶融亜鉛めっき(HDZ55またはHDZ35)、10%アルミ亜鉛合金めっき(付着量100g/m2以上)による防錆処理を施しており、十分な耐久性を備えていると考えています。
JIS H 8641(1999)で解説されている数値を基にノンフレーム工法各部材の耐用年数を算出した結果を下表に示します。
溶融亜鉛めっきの環境別標準耐用年数
ノンフレーム部材 | めっき区分 | 暴露試験区域 | 平均腐食速度 (g/m2・年) |
耐用年数 (年) |
---|---|---|---|---|
支圧板 ロックボルト カプラ ナット キャップワッシャ |
溶融亜鉛めっき HDZ55(550g/m2) |
都市工業地帯 | 9.3 | 53 |
田園地帯 | 4.5 | 110 | ||
海岸地帯 | 11.1 | 45 |
[備考]
JIS H 8641(1999)で示されている数値を掲載。
耐用年数は、亜鉛付着量が各区分のg/m2であって、
めっき被膜の90%が消耗するまでの期間を計算してあります。
D-2 補強材の防食は?
補強材全長にわたり、耐食性のある2種類以上の異なる材料で保護されています。
- 地中部:グラウト+溶融亜鉛めっき
- 地際部:シース +溶融亜鉛めっき
- 頭 部:防錆油+溶融亜鉛めっき+キャップ
D-3 削孔により補強材のめっきは剥離しませんか?
溶融亜鉛めっきが削孔により剥離することは、ありません。
削孔に使用した補強材を回収して、塩水噴霧による暴露試験を行なった結果でも、削孔により多少亜鉛めっきの磨耗は認められますが、めっきの犠牲防食機能によって、削孔前の補強材とほぼ同等の防錆機能を保っていることを確認しています。
D-4 シースの役割は?
シースは地際部に取付け、地表水などに対する補強材の防食を目的としています。
D-5 補強材や関連部材をステンレス材にできませんか?
主要部材をステンレス材にすることは可能ですが、材料コストが非常に高価となります。
また、他の工法で一般土木構造物等にステンレス材を用いたものは少なく、特殊な構造物の一部にしか用いられていません。
D-6 ワイヤロープではなく、化学繊維のロープでもよいですか?
強度的には化学繊維ロープでも問題ありませんが、化学繊維ロープを用いた場合、コスト、耐候性、作業性、固定方法等現状では問題がありますので、採用しておりません。
D-7 支圧板の形状はどのように決めたのですか?
支圧板の形状は、次のことを考慮して決定しました。
補強材の許容引張耐力に対して満足できる強度と、大きな支圧面積を有すること(0.22m2)
急勾配で樹木が繁茂している斜面内での運搬、設置が可能な重量であること(約20kg)
凹凸になじみやすく、樹木をかわしやすい形状であること(三角形状)
なお、設置後の追跡調査によって、支圧板をY字形に設置すると、支圧板の補強リブプレートが表土の流出防止に効果をもたらしていることも確認されています。
D-8 ワイヤの端部固定にワイヤクリップを用いてもよいですか?
ワイヤクリップを用いた固定方法でも問題はありませんが、ワイヤクリップでは施工性が悪いことから、採用しておりません。